「境目の時」吹奏楽部・マンドリン楽部定期演奏会

<境目の時>毎年通い詰めている定期演奏会。今年は3月の音楽部のみ他の用事と重なり行けなかったのだが、残りの2つに行き、「境目の時」というその位置付けを感じた。

吹奏楽部演奏会-3
5月4日は吹奏楽部。クラシカルな第1部は曲の難易度が高く、かつ多くの人に演奏された人気の高い曲もあり、恐らく聴衆の厳しいプレッシャーを感じながらの悪戦苦闘だっただろう。第2部は劇「ピノキオ」で、悪賢いキツネの誘惑に翻弄されながら正しい道とは何かを考え、試練を乗り越えて成長していく主人公に、部員たちは自分自身を重ねていったに違いない。第3部は「アクセルビート」と題し、しっとりとした大人のジャズからノリノリの激しいリズムへと加速していき、部員たちはこれまでの集大成とばかりに、地域コンサートなどで豊富に重ねた演奏経験を糧に、一気に完全燃焼していく。

マンドリン額部演奏会-3

5月17日はマンドリン楽部。クラシカルな第1部、ギターアンサンブルの第2部、部員の寸劇を交えた第3部、ラグビー部員が盛り立てる第4部、ともに卒業生が編曲や演奏指導で寄り添う中、指揮者いわく、ひどいことを言ってしまったにもかかわらず皆がついて来て、柔らかな雰囲気の中で互いに感謝を伝え合い、話を聴き合い、ギスギスしても場を和ませたと。演奏中の部員同士のアイコンタクト、終演に近付くにつれて募る感極まった表情は、聴衆に思わずその仲間に入っていきたいような衝動を引き起こす。
吹奏楽部の部長とマンドリン楽部の指揮者、ともに挨拶で口にしたのは、その演奏がその定演を境目に、もう二度とできないということ。特に引退する三年生にとっては、部室に行って楽器を演奏するという日常が、部活という存在そのものが、突然なくなること。それまで演奏のみならず部活生活をもっと良くしようと、必死に喘ぎながら悩みながら高みを目指す日々は、たとえ夢が叶わず燃え残ろうとも厳然と終止符が打たれる。だが一方で、それだからこそ、塗り替えられぬ形で思い出が余韻としていつまでも残る。その「境目の時」をくぐって成長する彼らの姿が、定演では見えるのだ。        (平成5年卒 市原 俊介