東剣乱舞~2015年東雲祭参観報告~

2015年の東雲祭は、1日目の7月4日(土)が何者かによる爆破予告で中止となった。この前代未聞の事態、この2日間のために打ち込んできた生徒たちのショックはいかばかりだっただろう。それでも2日目の7月5日(日)は無事一般公開で開催されることとなり、演劇4公演の予定を5公演に増やす措置が取られた。改修工事中で窮屈だった昨年よりも快適に見られるのを期待したが、2日分の来場者が1日で押し寄せたせいか、雨天にもかかわらず朝早くから軒並み大混雑となった。
3年生9クラスは昨年に引き続き全てミュージカル。半分を占めるディズニーものは、いずれも整理券が全く入手できず、列に並んでも途中で打ち切られていずれも見られず。その中で私は4組「アイーダ」、5組「オペラ座の怪人」、6組「レ・ミゼラブル」を見た。これまでこの東雲祭で何度も上演された演目であるせいか、歌や踊りの演技や道具など、いずれも円熟の域に達していた。だがそれでいて新鮮味は失われず、過熱気味のディズニー人気に流されまい、負けまいとする心意気や、各部活で注目を集める部員に注目させるなど、そのメンバーやクラスにしかない個性を出す取組みも、所々で垣間見えていた。
ほかに見たのは、物理部と化学部の展示と、吹奏楽部ミニコンサート。何と化学部には、海外の学会で発表するかのような英語のポスター展示があった。1年生や2年生は各々趣向を凝らした模擬店を出しており、そこで各クラスのTシャツを着た生徒たちの話題といえば先輩3年生のミュージカル、その自分たちの将来の姿を夢見て憧れつつも、今その中で精一杯自分の持てるものを発揮してみせよう、という気概が感じられた。音楽部など、1日目だけにしかない発表の場を失った団体があったのが、実に残念だった。
今回のテーマは「刀剣乱舞」ならぬ「東剣乱舞」、誰もが自分の持てる演技力や統率力などの武器(刀剣)を発揮して乱舞して盛り立てる、というイメージで掲げたのだろう。実際には「爆破予告で1日目中止」という、全く予期せぬ、許すまじき刀剣が乱舞し、一般公開の時間が大幅に削られた。普段から大学受験という個人バラバラの無機質な闘いに明け暮れるだけに、彼らは一致団結して個性を発露するこのまたとない時間が貴重で、この現実への苛立ちが相当あっただろう。そしてそれは私を含めた観客の多くも同じだろう。それでも彼らはその憤りを胸にしまい、その与えられた時間と空間の中で懸命に花を咲かせることに専心し、集団に貢献して一つしかない思い出を作っていったのだ。
東雲祭は、その時を正に生きている多くの個性が、大挙して乱舞する場所。それはどんな状況に置かれても変わらず見られる。この次は、どんなものが見られるだろうか?